症例・施術例紹介 – めまい(回転性、浮動性)

めまいでお困りの患者さま(回転性、浮動性)、60代女性

症状

2020.11月発症。同月施術開始。早朝に脳貧血で倒れ、その後から左側臥位になると天井がぐるりと回るような回転性めまいあり。時により、ふらふらするような浮動性めまいもあり。

随伴症状として、肩こり、寝付きの悪さあり。既往歴で胃のポリープあり。

四診結果

元々人付き合いが好きな社交的な方だが、コロナ禍であることから、外出や人と会う機会が減り、気晴らしの時間が減っていたということから、ストレスが溜まっている様子が見受けられた。

脈は、そこまで強くない状態。背中の肝のツボにやや張りあり。足と腰の腎のツボに冷えあり。下腹部の腎のツボにへこみあり。

以上から、ストレスにより上半身と下半身の気のバランスが崩れ、めまいが発症したと判断。

東洋医学的病態把握

ストレスが高まると、肝の気を伸びやかに巡らせる力が低下する。そうすると、下に降りるべき気が上昇。そのため、下に気を降ろそうと働く腎に、必要以上に負担が掛かる状態であった。

肝と腎の乱れが長く続いたため、腎が疲弊。気を下に留めておくことが出来ず、頭の方に上昇してしまった。上昇した気は頭で停滞し、停滞した気は熱化する。熱が発生すると、風が巻き起こる。この風がめまいの原因となった。

処置

東洋医学では、中庸が「バランスが取れた最も良い状態」とされ、当院の治療でもそこを目指して施術します。

脈や舌、ツボ(経穴)の状態から判断して、どのツボにどういう処置をするのか決めます。左右の差が最も大きいツボが治療穴(鍼を刺すツボ)になることが多いです。

また、①不栄則痛(気が足りなくて痛む)なのか、②不通則痛(気が通らなくて痛む)なのかということにより、鍼の治療穴を変えています。この患者さまの場合は、腎のツボの元気の無い様子が見られ、①不栄則痛に当てはまりました。

今回は、疲弊した腎を建て直す治療のため、照海穴を選びました。照海穴には、肝と腎のバランスを整える効果が期待でき、足首内側にあります。左右を比較すると、左にへこみ(元気の無い様子)が見られたため、左の照海穴に刺鍼しました。

その後、半年で12回施術を行い、回転性めまい、浮動性めまいともに寛解。

発症後間も無く施術開始でき、腎の建て直しが容易に行えたので寛解が早かったと思われます。随伴症状の肩こり改善のため継続通院中。

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